少し前に、マクドナルドの150円コーヒーについてThreadsに投稿しました。
コンビニやマックに行けば、100円台で気軽にコーヒーが飲める。しかも「安いから飲めない」というほどでもなく、十分おいしい。
そんな投稿に想像以上にたくさんの反応をもらって、ふと気になったことがありました。
これだけ安く、手軽に、ちゃんとおいしいコーヒーがある時代に、個人のコーヒー屋さんへ行って500円、600円を払う理由って何なんだろう。
豆の味?
店の雰囲気?
店主との会話?
そこで過ごす時間?
いつか自分でも小さなコーヒー屋をやってみたいと思っているので、これはかなり大事なテーマだと思い、Threadsで聞いてみることにしました。
すると、スクリーンショットを取った時点で表示5,807回・返信59件。いろいろな立場から、かなり濃い意見をもらうことができました。
この記事は少し長めです。
下の目次から、気になるところだけ読んでもらって大丈夫です。
ただ、最後の「今回たくさんの返信を読んで、僕が一番感じたこと」だけは、できれば読んでもらえたらうれしいです。将来自分が店を持つなら、ここを一番忘れたくないと思っています。
返信を読みながら整理していくと、個人店の500円、600円には、大きく6つの価値が含まれているように感じました。
1. 豆・焙煎・抽出。「コーヒーそのもの」に払う
まず一番わかりやすかったのが、コーヒーそのものの違いです。
豆の品質、焙煎方法、ハンドドリップ、エスプレッソ、香り。さらに「豆や淹れ方を選べること」に価値を感じている人もいました。
コンビニやマックのコーヒーは、安くて気軽で、味もある程度安定しています。一方で個人店では、豆の種類や焙煎、抽出によって一杯ごとの違いを楽しめる。
実際に返信の中には、「家でも豆から淹れているので、外で飲むなら豆や挽き方、淹れ方にこだわっている個人店を選ぶ」という声もありました。
家でもそれなりにおいしいコーヒーが作れる人ほど、“自分では作れない一杯”を外に求める。
これは個人店だからこそ作れる価値の一つだと思います。
2. 想像以上に多かった「場所・空間」に払うという考え方
今回、個人的に一番印象的だったのが「場所」に関する返信の多さでした。
席料。場所代。第三の居場所。静かに過ごせる空間。インテリア。お店の雰囲気。
その中でも、特に印象に残った表現があります。
「私の秘密基地の入場料」
この言葉を見たとき、「なるほど」とかなり腑に落ちました。
600円を払っているのは、コーヒーという液体だけではない。
好きな店に入って、好きな席に座って、少し落ち着いて、自分の時間を過ごす。そこまで含めて600円なんですよね。
僕自身、雰囲気のいいカフェは好きですが、今回の返信を読むまで「空間」の価値をここまで大きく考えていませんでした。
「コーヒーを飲む場所」ではなく、「ここに来たいと思える場所」を作る。
将来自分が店をやるなら、この視点はかなり大事になりそうです。
3. そこで過ごす「時間・体験」に払う
場所と近いようで少し違うのが、「そこで何をして過ごすか」という価値です。
モーニングを食べる。新聞を読む。勉強する。ジャズを聴く。常連同士で話す。何もせずにぼーっとする。
中には、500円以上のコーヒーを飲む店を目的によって使い分けている方もいました。
返信を読んでいると、味よりも“その時間を買っている”という人が意外と多いことに気づきます。
逆にかなり象徴的だったのが、
「テイクアウトならコンビニコーヒーでいい」
という意見です。
車で飲むならコンビニ。家なら自分で淹れる。落ち着きたいならカフェ。スペシャルティを楽しみたいなら専門店。
つまり、お客さんは常に「マックか個人店か」で比べているわけではなく、そのとき欲しい時間によって店を使い分けているんだと思います。
これは店を考えるうえでかなり重要です。
「誰の、どんな時間のための店なのか」を決めることが、個人店の価値につながるのかもしれません。

4. 店主との会話や人柄。「人」に払う
返信の中には、店主やスタッフについての意見もたくさんありました。
「店の人との会話が楽しみ」
「店主の人柄も大事」
「プロが淹れるコーヒーと店主の人柄までそろっていたら通ってしまう」
個人店では、コーヒーだけでなく“誰がそこにいるのか”まで店の価値になるんですね。
これはチェーン店にはなかなか真似しづらい部分でもあります。
今回の返信を読んでいて、ひとつ仮説として感じたことがあります。
味が来店理由になって、人が継続理由になる。
最初は「おいしそう」「雰囲気がよさそう」で入る。
でも何度も通ううちに、店主との会話が増えたり、好みを覚えてもらったり、お店そのものに愛着が湧いてくる。
そうなると、「コーヒーを飲みに行く」から、「あの店に行く」に変わっていくのかもしれません。
5. 「なくなってほしくない」。応援や共感に払う
これは今回、僕にとってかなり意外だった視点です。
好きなカフェがなくなってほしくないから、売上に貢献したい。そのためなら一杯800円でも1000円でも払う。
何度も通うのは、そのお店や店主を応援しているから。
そんな返信が複数ありました。
「おいしいから買う」だけではなく、「続いてほしいから払う」。
お気に入りの店が生活の一部になると、お金を払うこと自体が応援になる。
これも小さな個人店ならではの価値だと思います。
さらに、店ではなくコーヒー豆の生産者に対してお金を払っている感覚を持つ方もいました。
生産地で生活した経験のある方からは、安すぎるコーヒーの背景に、生産者側の生活があるという話も聞きました。
僕自身、豆の産地を見ることはあっても、その先にいる人の生活まで毎回考えていたわけではありません。
この返信を読んで、明日から飲むコーヒーの見方が少し変わる気がしました。

6. 選ぶ楽しさ・発見・店ごとの個性に払う
もう一つ見えてきたのが、「選べること」や「店ごとの違い」を楽しんでいる人たちです。
日替わりの豆、ブレンド、エスプレッソの配合、焙煎方法、カップ、フード、店の世界観。
ある方は、初めて行く喫茶店ではあえてブレンドを頼むそうです。そこに、その店の個性が出るから。
別の方は、個人店を回ってエスプレッソを飲み比べるのが楽しい、と話していました。
つまり個人店には、「まだ知らない味や店に出会う楽しさ」もある。
マックやコンビニの強みは「いつでも同じ安心感」。
個人店の強みはむしろ、「ここでしか出会えない違い」なのかもしれません。
結局、500円・600円には何が入っているのか
今回の返信を整理してみると、個人店の一杯にはこんなものが含まれているように感じました。
- 豆・焙煎・抽出などの品質
- 店内の空間
- そこで過ごす時間
- 店主やスタッフとの関係
- 好きな店や生産者への応援
- 選ぶ楽しさや新しい発見
こうして並べてみると、600円という価格を「コーヒー液体200mlの価格」だけで比べること自体が少し違うのかもしれません。
むしろ、
その一杯を通して、どんな時間や体験を提供できるのか。
そこに150円との差額の理由がある。
ただし「高ければいい」わけではない
一方で、返信の中にはかなり重要な意見もありました。
「高いだけなら払いたくない」
当然ですが、ここは忘れてはいけないと思います。
600円でも1000円でもいい。でも、なぜその値段なのかが伝わらなければ納得できない。
ある方からは、仮に原価100円・売価500円なら、お客さんから見た差額400円が付加価値であり、「その400円のために何をしているのかを自分の言葉で説明できることが大事」という趣旨の返信ももらいました。
豆なのか。技術なのか。器なのか。内装なのか。接客なのか。その店の世界観なのか。
答えは一つではないと思います。
でも、「うちはここに価値があります」と言えるものは必要なんだと思います。
今回たくさんの返信を読んで、僕が一番感じたこと
ここまでいろいろな意見を紹介してきましたが、今回僕が一番考えさせられたのは、結局ここでした。
僕はこれまで、いつかコーヒー屋をやるなら「おいしいコーヒーを出したい」ということを一番に考えていました。
もちろん、それは今でも変わりません。
でも今回の返信を読んで、それだけでは店に来る理由にはならないのかもしれないと思うようになりました。
今はコンビニでもマックでも十分おいしいコーヒーが飲めます。
家で豆を買って、自分で淹れる人も増えています。
だからこそ個人店には、
なぜ、わざわざこの店に来るのか。
この店で、どんな時間を過ごしてほしいのか。
帰るときに、どんな気持ちになってほしいのか。
そこまで含めて考える必要があるんだと思います。
今回出てきた言葉の中で、僕はやっぱり「秘密基地の入場料」という表現がすごく好きでした。
「コーヒーを飲みに行く」だけではなく、「そこに行く理由がある」。
そんな店は強いと思います。
僕自身はデカフェにも興味があるので、もし将来自分の店を持つなら、
おいしいデカフェを楽しめること。
落ち着いて過ごせること。
コーヒーの話でも、それ以外でも気軽に話せること。
そんなものが組み合わさった場所を作れたら面白いな、と今は考えています。
まだ完全に妄想の段階ですが(笑)
150円のコーヒーも、600円のコーヒーも、それぞれ正しい
今回たくさんの返信を読んで、一周回って思ったのはこれでした。
マックの150円コーヒーも素晴らしい。個人店の600円コーヒーも素晴らしい。
どちらが上という話ではない。
朝急いでいるとき。
車で移動しているとき。
一人でゆっくりしたいとき。
誰かと話したいとき。
おいしいコーヒーをじっくり味わいたいとき。
その時々で、人が求めているものは違います。
そして個人店が提供しているのは、単なる一杯のコーヒーではなく、
「そこに行く理由」そのものなのかもしれません。
いつか本当に自分の店を持つことがあれば、今回もらった返信をもう一度読み返したいと思います。
「おいしいコーヒーを出す店」だけではなく、
「またここに来たい」と思ってもらえる店。
そんな店を作れたらいいなと思いました。
※この記事はThreadsでいただいた返信をもとに、個人が特定されないよう内容を要約しながらまとめています。Threadsの表示数・返信数はスクリーンショット取得時点のものです。

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